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「死ぬ時は誰かの為……みんなの為に死にたいって思ってて,それを言ったら小五郎さんにはみんなの為に生きろって怒られました。
あ!勿論死にたくないですよ?でももし死ぬとしたらの話なんで!」
気にしないでと今度はにっと明るく笑ってみせた。
「相変わらずじゃじゃ馬やのぉ。やっぱ乗りこなしたいけぇ俺の子産めや。」
三津は絶対嫌!と笑顔でばっさり斬り捨てた。
「何でや!あ!そうや三津さん九一と何したん!?」 https://www.easycorp.com.hk/zh/offshore
何でそんなどうでもいい事を覚えてるんだこの男はと三津の顔が引き攣った。
「何もない!」
ここは逃げた方がいいなと思った三津は阿弥陀寺に向かって駆け出した。
「逃がすか!」
すぐさまその後を追いかけて赤禰とフサは置いてけぼりを食らった。
だが目線の先で三津はすぐに高杉に捕まって羽交締めにされていた。
「大人しく俺の子産め!」
「絶対嫌ぁぁぁ!!武人さん助けてぇぇぇ!!」
『おうおう……そりゃいかんやろ……。』
高杉なら襲いかねんと慌てて駆け寄って高杉を殴りつけて三津から引き離した。三津はガタガタ震えながら怖かった怖かったと赤禰にしがみついた。
「高杉さんこれは桂様に報告いたしますね。」
フサは真顔で高杉の足の脛を何度も蹴った。
「フサちゃん痛い。地味に痛い。」
「もっと痛い方がいいですか?」
「違う。痛いのが嫌じゃ。そう言うところ稔麿そっくりやな。」
「光栄です。」
にっこり笑うフサに高杉は押し黙って頭を掻きむしった。どうもフサには強く言えない。まだ幼く思えるもやる事は兄に似ていて顔も似ているから余計に変な感じがする。
高杉はそのまま視線を三津に移すと赤禰に縋りついたまま赤禰も平然と肩を抱いて歩いている。
「男前は得やな……。」
高杉は横顔もええ男だわと悲しみに打ちひしがれた。屯所に戻りフサは早速文に高杉の行いを報告した。文はまた何か仕返しをしなきゃねと悪い顔で笑った。
三津は思いの外体の震えが止まらない事を悟られたくなくて疲れたから少し休むと部屋に戻った。
『高杉さんでも怖いんや……。』
心も体も元気になった筈なのに,体はあの時の恐怖をまだ覚えているのか小刻みに手が震えた。土方と対面して和解もしたのにと溜息をついた。
「三津入るよ。」
落ち着いた入江の声がしてすぐに障子が開いた。三津は震える手をぎゅっと握ってそれを隠した。
「武人さんに聞いた。晋作は懲りん奴じゃ。やっぱり怖かった?」
何でそうやって平気なふりをして隠そうとするんだと困惑気味な笑みを浮かべた。
それから貸してみと三津の両手を握った。
「好きでもない男に無理強いされて怖いのは当たり前や。隠すことない……と言っても三津の頑固さは治らんけぇそうやなぁ……水に流しに行くか?」
入江がにっと笑うと三津も口角をつり上げて大きく頷いた。
「海は流すって言うより飲み込むですね。これからは飲み込んでもらわな。」
三津波打ち際に近寄って寄せては返す波を眺めた。
「今日は白波が立っちょる。あんまり近寄ると本当に飲み込まれる。」
入江はなるべく三津の側について,大丈夫大丈夫と無邪気に笑うのを見ていた。
「先鋒隊の奴らに絡まれたんやって?」
「あーあの失礼な人達先鋒隊って言うんですか?」
「そっ。あいつらは武士の中でも旗本や上の身分の奴らやけぇ足軽の俺らや武士やないみんなを馬鹿にしとるそ。」
入江は腹立つと足元にあった手頃な石を拾うと海に投げた。三津はだからあんな態度だったのかと納得した。
「あの人達私の嫌いな言葉言いました。あの人達のせいで切腹になった人がいるんですか。」
三津も同じように石を拾って海に向かって投げた。だが入江のようには飛ばないのが納得いかなくてまた拾って投げた。
『いらん事言いやがって。』
入江も同じようにもう一度石を投げた。
「そう。奇兵隊を作って間もない頃や。長州藩のお偉いさんが先鋒隊とうちの視察をしたんやけど,その時うちの隊の視察に時間がかかり過ぎてあっちの視察に割く時間がなかったそ。
それをあいつらはこっちの策略や言うて揉めたんや。」
三津は今日のあの二人の態度を見ていちゃもんつけそうな感じだったわと目を細めて前を見つめた。そしてその顔を思い浮かべてその顔をめがけて石を投げた。
「それが高杉さんの罷免と関係してたんですね……。」