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高杉はにやりと片口を上げる。
「残念ながら三津はもう私の一部だ。お前にも他の誰にもやらん。
その黒紋付を汚す前に稔麿に返しなさい。稔麿,三津は?」
「この馬鹿が子を産めと迫ったので身の危険を感じて九一の付き添いで帰りました。
こんなに遅くなると思ってなかったので。」
嫌味を込めて二人で何処に居たのやらと横目で久坂をちらっと見た。
「中岡君に会って話が弾んでしまったんだよ。」 https://www.easycorp.com.hk/zh/offshore
こんな事になってるとは思ってなかったよと右手で額を押さえた。
「ん!?中岡さん来ちょるんか!!そりゃ俺も会いたいのぉ!!
最後に会ったのはいつやったかな?てっきり三田尻におるかと思ってたわ!!」
桂の話に食いついた高杉の頭からは三津の事などすこーんと抜けていた。
「藩邸に寄ると言ってたよ。稔麿すまなかったね。」
苛々が最高潮の吉田の方を見るとただ無言でこくりと頷いた。家に帰った三津は入江とのんびりお茶を飲んでいたが,流石に桂の帰りが遅いのでそわそわしだした。
「玄瑞もまだだったんで多分二人で一緒に居ると思いますよ。また宮部さんに捕まってたり。」
「そうですかねぇ……。」
それならいいんだけど。そう言いながらも何処かで女の人をはべらせてないか心配で堪らない。
『宮部さんが一緒なら女の人呼んでそう……。』
落ち着かなくて頻繁にお茶を啜ってしまう。
「その顔は……浮気を心配してますね?」
「んぐ!?っごほっ!」
見事に気管に入って咽た。
「すみません図星でしたか。」
入江は慌てて寄り添うと優しく背中を撫でた。
どうしてこうも分かりやすく動揺してしまうのか。
モテる男は大変だね〜くらいの余裕のある返しをしてみたいと軽く咳こみながら苦笑した。
「もし辛くなったら私に甘えていいんですよ?」
そっと肩を抱いて三津の髪に唇を寄せた。
「私は三津さんの都合のいい男になりたいんですよ。」
「何ですかそれは。」
また変な事言ってるなぁと入江を見上げればほっそりと笑った目に見つめられた。
「三津さんが悲しかったり辛い思いをして逃げたくなった時や,桂さん以外の誰かに縋りたくなった時の甘える場所です。」
「入江さんをそんな扱いしませんよ。」
そんな失礼な事出来ないと笑った。
「私がそうなりたいんですよ。
今も不安な気持ちがちょっとでもあるなら,それを取り除きたい。
でも取り除くには三津さんが甘えてくれないと。
甘えて嫌な事忘れたいって願うなら私はそれを忘れさせます。」
柔らかく三津を腕の中に閉じ込めて耳元で甘く囁く。
「そりゃ不安はありますよ……。」
「ですよねぇ。桂さんモテますから。でも大丈夫,必ず三津さんの所に帰って来ますから。」
大丈夫大丈夫と言い聞かせながら三津の背中をぽんぽんと叩いた。
「帰って来るにしても寄り道しないで帰って来て欲しいもんです……。」
他の女に目もくれずまっすぐと。でもそれは自分勝手なわがままで,桂の行動を制限する権利など自分にはない。
それを分かってるから余計に苦しい。
「やっぱり私は商人の奥さんの方が合ってるんかなぁ。」
ぽろりと溢れた弱音に入江の口元が緩む。
「何か吐き出したいならどうぞ。」「私ね,小五郎さんと出逢ったのと同時期ぐらいに縁談があったんです。呉服屋の若旦那さんと。
でもその時は新ちゃんの事が吹っ切れてなくて断ったんです。」
「それは桂さんはご存知で?」
「はい,その件で相談に乗ってもらってたんで。」
お陰で断れたんだとその時を懐かしく思って笑った。
「だけど近所の人に私は商人の奥さんが合ってるって言われたの思い出しちゃいました。
四六時中一緒に居て商売してる方が良かったのかなぁって……。
覚悟して来たって言った癖に何言ってんだって思いますよね〜。」
ごめんなさい忘れて下さいと笑って入江の腕を解こうとしたが,その腕は三津を締め付けた。
「弱いとこ見せたっていいんです。誰も責めたりしませんから。
もし見せたくないなら私だけに……。誰にも内緒で包みますから。」